君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~

どうして私だけ?と疑問に思ったけど、私は副社長にとって苦手なタイプなのかもしれないという考えに至った。

友達から「香澄って見た目からして真面目だよね。全然、冒険とかしないし」とよく言われていた。
確かにそうかもしれない。
胸まである髪の毛だって染めたことはないし、学生時代、スカートを短くしたり手を加えている人が多かったけど、私は校則のきっちりひざ丈を守っていた。
クラスでもおとなしい方のグループにいて目立つようなことは一切なかった。

真面目な優等生ならまだよかった。
特に頭がいいわけではない、ただの真面目人間。
冗談も真に受けることが多く、面白味のない女だと自覚していた。

冒険ができない真面目な性格なので、好きな人が出来ても遠くから見つめるだけだった。
だから、今まで彼氏なんていたことがない。
告白する勇気もなく、好きという気持ちを押さえることに慣れてしまった。
そんな弱気な自分の殻を破りたいとは思うけど、なかなか一歩踏み出せずにいる。

社長から副社長のお世話を頼まれた時は複雑な気持ちだった。

社長の信頼に応えたい気持ちと同時に、封じ込めたはずの副社長への想いが再燃してしまうんじゃないかという戸惑いもあった。
でも、社長から副社長のお世話は仕事の延長だと言われたこともあり、公私混同はしてはいけないと改めて気を引き締めることが出来た。
< 7 / 28 >

この作品をシェア

pagetop