エル・ディアブロの献身
上書き。
その言葉で、己がこれからどんな目にあうのか、何をされるのか、十二分に理解した。
「っやだ、やめ、て、」
うん、もう、仕方ないよね。
なんて、言えるわけない。押さえつけるその力から逃れたい一心で身体を捻り、足をバタバタと動かす。
しかし男は、それを気にも止めず、ちぅ、と音を立てて私の頬の肉を吸った。
「っひ、」
「可愛い。可愛いよ、ハナちゃん」
ぞわぞわぞわぞわ。肌という肌が毛羽立ち続ける。
「……っ、ぅ、やぁ、」
嫌だ。やめて。
途切れ途切れでも、必死にそれを何度も訴えているのに、聞こえていないのかと思うほどに無視されて、好き勝手に私に触れる男の手。ぼろぼろと溢れてはこぼれていく涙に時折触れて、べろりと舐めるその様はどうやっても生理的に受け付けない。
ひくりと、喉がひきつる。
嫌だ。気持ち悪い。助けて。
例え大声で叫んだとしても届くわけもないそれを頭の中で念仏のように繰り返し唱えながら、せめて何も見ないようにと、ぎゅっと固く目を瞑った。