笑顔の花が咲くまでは#4~憧れの花が見せた感情~
「……」

ミステリー小説家兼特殊捜査員のフィオナ・カモミールは、朝から特殊捜査チームの本部である一軒家で皆の様子や物を観察していた。

フィオナは心理学に興味を持ち、観察力を高めたいと人や物を観察するようになったのだ。

片手に握られたカメラを棚の上に飾られた花に向け、フィオナは「うーん……」と声を漏らす。

写真を撮ることで観察力を鍛えることが出来るらしく、それを知ったフィオナは毎日同じ写真や違う写真を撮るようにしたのだ。

(……もっと良い角度で撮れないかな?)

そんなことを思いながらしゃがんだり立ち上がったりしていると、ドアが開く音がした。

フィオナが横目で音がした方を見ると、画家のフリージア・テイラーが部屋を出ていくのが見えて、フィオナは構えていたカメラを下ろす。

(フリージアさん、いつもこの時間に出ていくな……)

フィオナはそのことが気になり、フリージアの後を追いかけた。フリージアが屋根に登っていく姿を見つけ、フィオナは器用に屋根の上に登る。

「フリージアさん」

屋根に座ってぼんやりと空を眺めるフリージアに、フィオナは声をかけた。しかし、フリージアはただぼんやりとするだけだった。
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