あの日、小猫と出会ったから
深い溜息を一つついて、俺は立ち上がった。やっぱり落ち着かない。窓辺に寄って、外を眺めた。
「身分違いの恋、か」
ふう、と更に息をついて窓を開ける。一枚は手前に引き、もう一枚は押し開く二枚戸の窓。懐かしいな、養護院と同じ開き方の窓だ。
「切ないねえ」
おっさんくさく呟いて、下を見た。結構高い。そういえば、ここは何階だったか。
さすが王族の泊まる所、窓から見える景色も綺麗だ。ひょろりとしたポプラの木が、色とりどりの草花が踊る庭園の境界で背比べをしている。あの樹、養護院の庭にもあったな。登ろうとして怒られた覚えがある。確か、三階の客室から見えるくらいでかくて――
『……からな』
不意に、背後から声が聞こえた。後ろから首を掴まれた感覚に、血の気が引いた。
『悪く思うなよ、ジェイミー』
「誰っ……」
振り返った。誰も居ない。ぞくりとした。
「な、んだ、」
今のは。
妙な恐怖を感じ、慌てて窓を閉じた。不穏な速さで走り出す鼓動。同じ開き方をする窓。ガラス越しに見えるポプラ……。
「何をしている」
「のあっ」
扉の方から訝しげな声が飛んできて、俺は飛び上がった。眉間に皺を寄せたナイジェル王太子が、腕組みして俺を睨んでいた。窓に手をかけたままの俺を見て、涼しい目元がきゅっと尖る。
「逃げずに待っていろと言ったはずだが」
「ハ、ハイ、スミマセン」
「五階から飛び降りて、無傷でいられる自信でもあるのか?」
「イエ、アリマセン」
「挑戦するのはお前の勝手だが、こちらを巻き込むな」
「ア、ハイ、マキコミマセン」
ポンポン飛んでくる冷たいお言葉。これは誤解されても仕方ないと思います、リサさん。
「身分違いの恋、か」
ふう、と更に息をついて窓を開ける。一枚は手前に引き、もう一枚は押し開く二枚戸の窓。懐かしいな、養護院と同じ開き方の窓だ。
「切ないねえ」
おっさんくさく呟いて、下を見た。結構高い。そういえば、ここは何階だったか。
さすが王族の泊まる所、窓から見える景色も綺麗だ。ひょろりとしたポプラの木が、色とりどりの草花が踊る庭園の境界で背比べをしている。あの樹、養護院の庭にもあったな。登ろうとして怒られた覚えがある。確か、三階の客室から見えるくらいでかくて――
『……からな』
不意に、背後から声が聞こえた。後ろから首を掴まれた感覚に、血の気が引いた。
『悪く思うなよ、ジェイミー』
「誰っ……」
振り返った。誰も居ない。ぞくりとした。
「な、んだ、」
今のは。
妙な恐怖を感じ、慌てて窓を閉じた。不穏な速さで走り出す鼓動。同じ開き方をする窓。ガラス越しに見えるポプラ……。
「何をしている」
「のあっ」
扉の方から訝しげな声が飛んできて、俺は飛び上がった。眉間に皺を寄せたナイジェル王太子が、腕組みして俺を睨んでいた。窓に手をかけたままの俺を見て、涼しい目元がきゅっと尖る。
「逃げずに待っていろと言ったはずだが」
「ハ、ハイ、スミマセン」
「五階から飛び降りて、無傷でいられる自信でもあるのか?」
「イエ、アリマセン」
「挑戦するのはお前の勝手だが、こちらを巻き込むな」
「ア、ハイ、マキコミマセン」
ポンポン飛んでくる冷たいお言葉。これは誤解されても仕方ないと思います、リサさん。