お嬢様と羊
お嬢様と婚約者
「嬉しかった」
「ん?」
「佳輝に言ってくれたこと」
マンションに帰りつき、二人は裸でベットに横になっている二人。

一弥は陽葵を腕枕して、頭を撫でていた。
「本気だよ。
陽葵が死にたくないって言っても連れて逝くからね!」
「うん」
「幸せだ」
「ん?」
「陽葵が腕の中にいる」
「うん」
「触れることができる」
「うん」
「キスも…」
「うん……ンンン……」
そのまま一弥の口唇が頬や首、鎖骨に落ちていく。

「こんな風に抱くこともできる」
「んぁ…一弥……ぁ…あぁ…」
「俺が触る度に、陽葵が気持ちよさそうに反応する」
「━━━━━━んんっ…!!」
「陽葵と繋がると、もう…それだけで……
幸せすぎて、愛しすぎて…このまま一緒に死んでもいいって思えるんだ」

「一弥……もう…だめぇ…」
「ダメだよ…まだ、終わらないよ。
陽葵、俺を見て?」
「だめ…一弥が、見えない……」
「陽葵…!陽葵…!戻って来て…?
俺を見て…?」
「………」
そのまま、陽葵の手がパタンとシーツの上に落ちた。

「………ヤりすぎた…」
一弥は繋がったまま、陽葵を見下ろし見つめていた。

そこへ陽葵のスマホが鳴り出した。
画面には“パパ”の文字。
「ゲッ!!陽葵の親父かよ!?」
ジッとスマホを見つめていると、切れて今度は一弥のスマホが鳴り出した。

「は?今度は俺にかよ!?」
一弥は一度深呼吸して、電話に出た。
「はい」
『星野?旦那様に代わる』
「はい」
『…………陽葵は?』
「おやすみになってます」
『そうか…明日、屋敷に来い』
「はい、畏まりました」
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