導かれて、放れられない
桔梗の勤めるレストランに、剛田の部下が来店した。

「水田さんですよね?」
「あ、はい」
「天聖様のことで、重要な話があるのでご同行願いますか?」
「え?増見さんは?」
「あ、実は誰にも内緒にしてほしいことらしくて……」
「はい、わかりました」
なんの疑いももたず、桔梗はレストランを後にしたのだ。


剛田の事務所に連れてこられた桔梗。
ここでやっと、桔梗は危機を感じる。

「え?ここはどこですか?」
「黙れよ!」
「……っつ!」
グッと男の顔が近づき、凄まれた。

そこへ剛田が入ってきた。
「初めてだね~!
天聖の彼女さん?
桔梗ちゃんだっけ?」
「あの、あなたは……」
「俺は剛田って言って、まぁ…天聖の天敵みたいな?」

「え?嘘……」
桔梗はただただ驚いていた。
「フフ…大丈夫だよ、天聖はすぐ来るよ?
その前に伝えておきたくて……」
「なんですか?」
「桔梗ちゃんは、両親は?」
「え?事故で亡くなりました」
「それ、誰に聞いたの?」
「え?病院で…看護師さんに」
「ふーん。
事故は事故だけど、真実は違うよ?」
「え……?何か知ってるんですか…?」

「20年前、天聖の親父と俺の親父が二大勢力を誇っててさ。
でも、ある日抗争が始まったんだ。
それに俺や天聖も来てた。
まだ二人ともガキだったが、親父達にくっついて行ったんだ。
当時、天聖には幼なじみがいた。
二つ年下の女の子。
二人はいつも一緒だった。
まだ小学生のくせに、将来は結婚しようなんっつてて」
「あ……あ…」

「思い出した?」

【桔梗~!俺、パパみたいに強くなるから、俺の嫁さんになってよ!】
【うん、いいよ!私も天ちゃんのお嫁さんになりたい!】

「でも、なんで私達は別れたの?
誰が引き裂いたの……?」

「他でもなく、天聖だ」
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