とろけるような、キスをして。



*****


「はい。コーヒー」


「ありがと。ごめんな、急に来て」


「ううん。最近あんまりゆっくり会えてなかったし、嬉しい」


「あぁー……可愛いなあ、癒される」



 リビングでコーヒーを飲む修斗さんは、仕事疲れでなんだか今にも寝てしまいそうに見える。



「私こそごめんね?仕事疲れてるのに」


「ん?あぁ、気にすんなって。俺もみゃーこに会いたくて来たんだから。むしろカレー美味かった。ありがとう」



 ふにゃりとした笑顔にも、疲れが見えていた。


それもそのはずだ。


 修斗さんが仕事を終えて帰ってきたのは二十時過ぎ。お腹が空いていると思ってカレーを仕込んでおいたのは正解だったようだ。


ものすごい勢いで食べた修斗さんは、今食後のコーヒーをゆっくりと飲んで一息ついている。



「みゃーこ」


「ん?」


「おいで」



 ソファに座る修斗さんが両手を広げる。


私はそこに引き寄せられるように向かい、その腕の中に身体を預けた。


修斗さんに抱っこされるような体勢で、ギュッと抱き着くと同じ力で返してくれて。



「あぁー……良い。美味いメシとこれだけでもう、仕事の疲れ吹っ飛ぶ」


「ふふっ、ちゃんと寝ないとダメだよ」


「えー、じゃあ今日泊まってってもいい?」


「もちろん。私はそのつもりだったけど」


「え?抱かれる気満々だったってこと?」


「なっ……もう!」


「ははっ、ごめんごめん。可愛くてつい」



 疲れていてもからかってくるのをやめない修斗さんの背中を軽く叩くと、笑いながら謝ってくる。


不貞腐れたようにその耳元に顔を埋めていると、修斗さんが私の身体を少しだけ離した。


< 169 / 196 >

この作品をシェア

pagetop