とろけるような、キスをして。

修斗の記憶




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 七年前の、夏休みがもうすぐ終わる頃。


みゃーこたちの学年が、高校三年生の頃だった。


 残暑が残る中、夏期講習中の学校に突然舞い込んできた連絡は警察からのものだった。



『そちらに在籍している野々村 美也子さんのご両親が、交通事故で亡くなりました』



 すぐに地元のニュースにもなり、テレビ番組や新聞にも載った。


みゃーこの両親が、結婚記念日の旅行に向かう途中に交通事故に巻き込まれ、亡くなってしまったというものだった。


不運にも、その旅行はみゃーこがロトンヌでバイトをして貯めたお金で初めてプレゼントしたものだった。


二人がずっと行きたがっていたヨーロッパ旅行のツアーをプレゼントしたのだと、照れながらも嬉しそうに話してくれたことを覚えている。


 しかし、海外に行くためにはいつも利用する空港ではなく、少し遠くの国際空港に行かなければいけなかった。


そのために雨の中車で移動中の高速で、猛スピードで後ろから走ってきた車が二人の車を追い越し、緩やかなカーブに差しかかった時、雨でスリップしてしまいそのままガードレールに衝突。


その勢いのまま車体ごと跳ね返ってきたところに、偶然二人の乗る車があったらしい。


雨の中、突然視界に入ってきた車に避けきれずにそのまま反対側のガードレールに激突した。


 二人の乗る車は潰れてしまい、即死だったという。


 他にも数台巻き込まれたらしいものの、亡くなったのは根源の車の運転手とみゃーこの両親だけだった。


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