とろけるような、キスをして。



 目につく料理を一口ずつ食べる。どれも美味しくて、次々と手が伸びる。飲み込んでは口に運んで、咀嚼してまた飲み込んで。そうしているうちに、どうしてだろう。視界が段々と霞んできて。



「みゃーこちゃん!?どうしたの?料理まずかった?」



 雛乃さんが、焦ったように私の背中を摩る。



「みゃーこ?どうした?なんかあったか?」


「大丈夫か?水持ってくる?」



 頰を伝う雫を拭いながら、首を横に振る。


まずいわけなんてない。美味しい。すごく美味しい。美味しすぎて、何故だか涙が止まらないんだ。


涙を流しながら、詰め込むように箸を口に運んでいく私を見て、三人とも心配そうにしていた。


 次第に私は箸を置き、抑えられなくなった嗚咽を漏らす。


雛乃さんに渡されたティッシュを目に押しつけた。



「……みゃーこ?どうした?」


「ごめっ……何でもないんです。ただ、……嬉しくて……」


「嬉しい?」


「誰かに誕生日祝ってもらったの、……久しぶりだから……」



 その意味を理解したのか、修斗さんは私をそっと抱き寄せる。


頭をポンポンと撫でてくれる手が、とても温かい。


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