どこまでも
 優希に充てられたのは小さな個室。ベッドと机や小さなソファとクローゼットというシンプルながらも綺麗な空間だった。

 出窓は両開きになっていて、開けると活気のあるアメリカらしい町並みが見下ろせた。

「朝になると近くのベーカリーからいい匂いがしてくるよ。コーヒーショップもすぐそこだし、ぜひ行ってみて」
「そうなんだ。楽しみだな……ありがとう」

 素直に感謝を表すとAllyも嬉しそうに笑い、うん、と返事を返した。

「食事までゆっくり休んでいて」



 ひとりになると、優希は大きな息をついた。ここまで来てしまった。

 この街に禄朗は住み生活を営んできた。彼のいた景色を見たいという願いは想像と違う形で叶ってしまったけど、そうか、ここが禄朗が選んだ場所なんだ。

 出窓に腰を掛けながら眼下を行き交う人の流れを眺める。

 日本とは全く違う人種が同じように生活している。禄朗はここで何を思い何を考え、必死に夢をつかもうとしてきたのだろう。

「会いたいな」

 迎えに来たよ、と抱きしめたい。今でもこんなに好きだと伝えたい。禄朗の話をたくさん聞きたい。
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