シェアハウスの相手は推しで溺愛されました。  【完】

雨の嵐とメールの嵐

          *

「うわっ、最悪、雨だ。」

大学の授業が全て終わって、外に出てみると雨が沢山降っていた。
今日に限って私は傘を持っていない。
どうしよう。
傘、借りれる人なんていないよ。

「三玲。」

後から声が聞こえた。
驚いて振り向くと、はるくんがいた。

「はるくん。どうしたの?」

「いや、お前に聞きたいよ。
今さっきからそこにずっと立って何してるんだ?」

「えっと、…!」

いいこと思いついちゃった。
はるくんに借りればいいんだ。傘を。
家も同じ方向だし。

「ねぇ、はるくん。
傘持ってない?」

お願い、持ってて。
どしゃぶりの中走るの嫌だよ。

「持ってないけど。」

ガーン。

「お前も持ってないのか?」

「うん。」

「俺の家とお前の家、どっちが大学に近い?」

私は一度だけだけど、真希に連れられてはるくんの家に行ったことがある。
真希に『三玲、友達少ないんだから友達増やしに行くよ!』って言われて。
私は、友達が少ない。
大学に入って、乗り遅れて、見事に一人ぼっちだった。
だけど、一人ぼっちの時に真希が私に話しかけてくれたんだ。
そしたら、意気投合して今に至る。
今も友達少ないけど……………。

「はるくんの家が近いかな。」

「なら、一回俺の家来い。
俺の家で傘、かしてやる。」

「ありがとう。」

私がそうお礼を言うとはるくんは

「じゃあ、行くぞ!」

そう言って、私の腕を掴んで走り出した。
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