シンママ穂乃香の悩める再婚(26歳のwedding続編)

陽仁の変化

「おっ課長‎
今日も愛妻弁当ですか?
美味そうですね。」
幾多篤志は羨ましそうに陽仁の
弁当を覗き込む。


「ん?まあな!
たまには外で食べたい日もあるゾ
幾多、くうか?くうか?」

課長の弁当の中はシャケと筑前煮
ポテトサラダに豚バラの野菜巻
緑の野菜盛りに自家製らしき
ドレッシング、ヒジキのお握りに
赤紫蘇のお握り
ほんとに美味しそう。

課長にくうか?と言われてつい
頷きそうになる。

「イヤイヤとんでもない!
奥さんお腹抱えて先輩の為に
作ってくれてるんですから、
感謝して食べて
下さい。
課長ホント羨ましい
可愛くて、綺麗で料理上手
課長の奥さん大好きですよ俺」

「じゃああげようか
子供込で‼」

ええ?
(マジ‼️本音を言うなら貰いたい)
えっといやいや不謹慎

「なんちゅう事を、又後悔して
激太りしますよ。」

一度奥さんに逃げられて激太り
した過去を持つ
泣いて頼み込んで別れを回避
そんな事も忘れてしまったのか?
篤志はヤレヤレと呆れかえる。

喉元過ぎれば熱さわするるってか!!

そんな課長と俺の会話を割る様に
黄色い声が飛んでくる。

「課長━━━━━━ぉ︎ぉ💕‼」

甘たらしい可愛い声
「珈琲どうぞ、買ってきましたぁ」
幾多と俺は振り返る
前田佳奈が、うふうふ
な顔をして微笑んでいた。


「え、俺、嫁の入れた
珈琲持って来てるからいいよ。
幾多にあげて‼」


「エ━━━━━━ツ
せっかく買ってきたのにぃ━━━」
佳奈は凄く残念な声をあげた。


「はい幾多さん。」
佳奈は手に持っている陽仁の
ポットを取り上げ
幾多に差し出し、某珈琲有名店で
買ってきた珈琲を陽仁に差出した。


「課長、こっちの方が絶対
美味しいと思いますよ‼
ハイッ課長ド━━━━ゾ‼」
佳奈はすかさずストローを
ブシユッと差し込んで課長に
差し出した。


陽仁は、つい手を佳奈ににぎられ
伸ばされ、手渡された珈琲を
受け取りのんでしまった。

ゲッ!! し、しまった。

幾多は ‘ᾥ’ コラッと思いながらも
「チェッまあ、珈琲ぐらいなら
いいか‼
ってか、課長もう飲んでるし」
とツイ油断してしまった

パカリとポットの蓋をあけ幾多は
芳醇な香りに驚いた。
目を丸くして一口飲む。

「ウワッ先輩、奥さんの珈琲
すげえ美味いですよ。
いやぁ料理はプロ級
いつ行っても部屋はキレイ
それに珈琲も美味い
主婦の鏡みたいな奥さんで
羨ましいっス、ゴクッ」


「いや、お前褒めすぎ、普通だろう。」

「あらァ幾多さん
私だって美味しい珈琲いれれマス
それくらいできまっ・ス‼💢」

「いやぁ無理‼
お前なんか足元にも
及ばないぜ!」


「じゃあ、綺麗ですか?
私より課長の奥さん綺麗?
それに専業なんだから出来て
あたり前でしょ」

「はぁ、てか課長の前で
良く言えるな٩۶コラ」

「だってえ、わ・た・し
課長の彼女候補ですから‼」

佳奈はニッコリと幾多を見つめ
笑った。

「ハハハハ、前田面白いな
幾多をやり込めるなんてキミだけ
だぞ‼」

「え、思った事言ったまででーす。
私課長の奥さんに負けたく
ありませんから━━━━‼」

一社員の同期より
バリバリ出世の早い
陽仁に目を付けるのはさすが
既婚者と言う事も承知して
略奪狙いの女狐



「珈琲のお礼、しないとな!」

「キャーホントですかァー」
(ニヤハハ勝ち、釣れそう)
佳奈は確信した。


「おう」

”課長昨日ワ・タ・シ・の連絡先
登録しました?”
佳奈は幾多が社内に掛かって来た
電話に出た隙を見つけた時
コッソリと耳ウチした。

陽仁は佳奈を見て爽やかな
笑顔でニッコリと笑った。

ฅ( ̳> ·̫ < ̳ฅ)嬉し━━━━イ
佳奈は
「”じゃ連絡待ってま━━━━す”」
と幾多に聞こえ無いように
小声でささやいた。


「フフ可愛いな‼」
走り去る佳奈のチョコレート色の
クルクルしたロングの髪が
右に左に揺れるのを見ながら陽仁は
呟いた。


「ただいま」

「おかえり」

穂乃香との会話に続くのは
「お風呂入って」

「おう、飯なに?」

「お弁当が和食寄りだったから
今日は中華」

「ああ、幾多が凄く美味そうって
褒めてだぞ!」

「そぉお、うれしい。」

「体はどう。」

「うん、動く動く、元気にしてるよ。」

俺達の会話に、愛してるとか
好きとか、会いたかった
寂しかったとか
そんな会話はなくなった。

10年付き合って結婚した。

俺の何回かの浮気も知ってて許して
くれた、穂乃香は本当に俺に
惚れている。

ネクタイを外しながら
着替えを手伝う穂乃香を見ると
やはり初々しさが俺達には抜けて
いる事に気付く。
俺の人生
これで良かったのか?と
考えてしまう。

阿吽の呼吸って言うのか
次の行動が分かる。

「ちょっとつまんねーな!!」


物足りなさを埋めるものは・・
何があるのだろう。
家族を持ったとしてそれは
同時に俺に義務ってやつが
生じるだけじゃないか?


父親って楽しいのか?
な訳あるか!


俺は未だ・・・






「ねえねえ佳奈知ってる?
御局様達が噂してたの聞い
ちゃった!」

佳奈は洗面所で口紅を直しながら
プルンとした唇をパッパと
鳴らした。

「またワタシの悪口?
気にしないわよ!
慣れてるモ━━━ン。」


「まあ・・確かに
デモデモ、もっと凄い話し。」

「その話‼(•'╻'• )꒳ᵒ꒳ᵎᵎᵎホント?」

「うん。
ってか、佳奈ホントに狙って
無いよね?
奥さんいるし、赤ちゃん産まれるし
あれ、冗談ダヨネ」

「アハハ、勿論だよぅ、ヤダなぁ

ふ━━━んキラリ
へえ━━━━そうなんだぁ」
佳奈は獲物を狙うメスヒョウの様に
目を光らせた。




陽仁は、未だ20代後半、異例の出世
確かに大学で首席だったし
大学院迄行きたかったがそれより
早く社会に出て稼ぎたかった。
そんなことが功を奏したのか

同期よりかなり上だ
羨ましがられている。

出世も早く、子供も産まれる
それにデキた嫁もいる。
何が不満なんだ?
誰もが夢見る幸せな人生だぞ
朝髭を剃りながら鏡を見みる。
食欲・睡眠欲・性欲

人間の3大欲求・・・足りないのは
足りないのは・・

そんな事を考えていると
ヴヴヴ ヴヴヴ ヴヴヴ
スマホのバイブが聞こえた。

何時も音楽をかけながら陽仁は
洗面所で身支度をすませる。
穂乃香にはヴィブの音は聞こえて
いない。

『課長━━━

佳奈で━━━━━す。☺︎💕💕
土曜日、映画いきませんかぁ?
私課長とデートしたいので
迷惑だったら断って下さい😘❣️』

プッ
佳奈はグイグイ俺に向かってくる。
正直分かりやすい
ま、最近俺も疲れてるし気晴らしも
ありか‼
映画だけなら問題ないだろう。

「感染対策をして行くぞ‼」

.。oO足りないのはスパイス
ワサビの無い刺身
炭酸の抜けたビール
塩気の無いポテチ
今の穂乃香とオレの関係。


『❤はーい。
嬉しい』

大学の時キャバクラでバイトした
男を落とすゲームは日常茶飯事
前田佳奈は若々しい体と
甘えテクをフルに使い
真正面から陽仁に体当たりすれば
必ず陽仁を落とせる و✧
課長を陽仁と呼び捨てに出来る
そんな自信がある。

決行日は土曜日の14:00
佳奈はこの1日で陽仁を落とすと
決めた。

奥さんの妊娠8ヶ月、今を逃しては
この先臨月を迎え課長の気持ちが
佳奈より赤ちゃんに向いてしまう。

奥さんが出産する前に
落とさないと敵が2人になる
赤ちゃん➕奥さん=課長は
家庭をとる。



そんな事は許さない
佳奈に気持ちが向くのは今
課長は佳奈のモノなんだから




「土曜日って明後日か?」
ポッンと口をついて出た。
朝、芳しい珈琲の香りがリビング
に漂い気持ちも落ち着いてくる。

「土曜日がどうかした?」

穂乃香はピザパンを
テーブルに並べながら呟く。

「おっ‼ピザパンか‼
美味そう。」

穂乃香の焼く🍞はどこの店より
美味い、それをピザパンにして
出してくれる。

スープはカボチャのポタージュ
ホクホクかぼちゃも入ってて
美味い、市販品なら
こうは行かないなぁ


なるほど、幾多の羨ましがる
所はここか‼
ついニヤニヤして穂乃香を見る

紅茶のレモンを絞りながら
穂乃香は微妙な顔つきをして

「なに?なんか言いたいの?」

俺はすこし照れながら
「いやぁ穂乃香って本当に
いい奥さんだな!」

「へ?今頃?」

「幾多が羨ましがっちゃってサ
穂乃香の事褒めまくりなんだよね。」

「え、そうなの?
陽仁じゃなくて幾多さんが?
恥ずかしい。」

「嫁褒められたら
一緒に褒められないだろ‼
俺は聞いてるだけだけど
それなりに嬉しいさ。」

そんなゆっくりとした朝を過ごし
たあと会社へと向かう。


満たされ充実した日々の中で
刺激を欲しがるのは
贅沢というんだろうなぁ
ダラダラとつまらない時間が
無駄に流れて行く気がしてつまら
なく感じてしまう。


このまま普通に俺の人生
おわるのか、なんかつまんねーな!!


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