騎士のすれ違い求婚
8 愛の告白
✴︎愛の告白✴︎



ティアがいる木の上に、ジュシアノールは軽々と登り、隣に腰をかけた。
枝は、数年前にティアが野犬より逃れた時から、さらに太くしっかりと育った。
太い木の幹の二股の枝は、二人で座っていても心地よく安定していた。
それでも。木の上だから。

ジュシアノールはティアの肩に腕を回すようにして、幹を掴み、より安定し彼女を守るように腰掛けた。

ティアの真横にジュシアノールがいる。
ティアが顔を傾けたら、間近に彼の美しい顔があった。
ジュノ様の目に囚われる。
ティアの存在ごと、彼に呑まれてしまうようだった。

「ジュノ様⋯⋯ 」

「爵位は何とか得た。
しかし、不安定な立場で、領地もなかった。
あなたがちゃんと安心できる場所もないのに、何も言えずにいた。

やっとだ。

やっと。あなたに気持ちが伝えられる。

お父上は知っておられたから、王宮勤めを決められた。
俺は少しでもティアを近くにいさせたかった。

第二王女は、浅はかで子供だから、陰謀にも巻き込まれる事もないだろうと考えた。
第一王女では輿入れになり、あなたまで隣国について行くなんて事になっては困る。
領地の管理は幼い頃から仕込まれていただろう?
王宮でも何か学べると考えていたのだ」

「知らずにあなたの花嫁修行をしていたのですね」

「だが、それでももし、あなたが誰かと出会ってしまったら、と怖かった。
ずっと薄氷を踏むような思いだったんだ」

「私に言いよる方など全くいませんでしたよ? 」

「いや、どんな男でも、あなたに惹かれるだろう。
実際遠ざけていたのだ。
だから兄上と父上にはよくたのんで、誰も近寄らせなかった。
そうやって、何年も何年も積み上げて、囲い込んでいたのに、まさか、一番重要な自分の愛が、曲解されていたとは」

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