かりそめ蜜夜 極上御曹司はウブな彼女に甘い情欲を昂らせる
「すぐにでも、俺の両親に会ってほしい」
「えぇ、瑞希さんのご両親? ご両親って、お父様はアシタホールディングスの会長の!?で、でも、まだ、ちょっと、早いような……」
プロポーズされてそれを受け入れたのだから、いずれはご両親に挨拶に行かなければいけないのはわかっている。でもまだ十分くらいしか経っていなくて、実感が湧いていないというか心の準備が全くできていない。
「こういうことは先延ばしにするとよくないからな。善は急げって言うだろう」
私の心を知ってか知らでか、瑞希さんはそう言うとズボンのポケットからスマホを取り出す。その様子をぽかんと見ている私の頬を、瑞希さんの右手が撫でる。左手は慣れた手つきでスマホを操作し、どこかに電話を掛けた。
「あ、俺です、瑞希です。明日の午後、時間はとれないでしょうか? はい、できれば母さんも一緒に。はい、結婚を決めた大切な女性に会っていただきたく──」
えぇ、明日!? 善は急げ、思い立ったが吉日なんて言うけれど、いきなり明日とか、さすがに無理がありすぎる。でも瑞希さんの気持ちは紛れもなく真実で、私の心を熱く震わせた。
彼の気持ちに応えるためにも、今ここで頑張ることが必要なのかもしれない。
そう思っている間も瑞希さんの勢いは止まることを知らず、あれよあれよといううちに話がまとまってしまったようだ。