公然の秘密
「それで、加納さんは…」

「遺体を確認してもらったけど、間違いなく加納だったよ…」

そう答えた尾関は両手を額に当てた。

「殺されたのは昨日の夜、１１時頃らしい。

Ｗ町の廃工場で殺されていたところを通学途中の中学生が発見したそうだ。

その中学生曰く、寝坊して学校に遅刻しそうだったから近道でそこを通ったら発見したって」

「そうだったんだ…」

「凶器は遺体の近くに鉄パイプがあって、それに加納の血液がついていたからそれで…って」

「えっ…」

柚愛は手を口に当てた。

「指紋は拭き取られていたから確認ができなかったって」

「でも、加納さんはどうしてそこにいたの…？

何の用事があって工場に…？」

そう言った柚愛に、
「それがよくわからないんだ」

尾関は言い返した。
< 153 / 211 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop