公然の秘密
「これなんかいいんじゃないか?

白桃のゼリー、デカいうえに6個も入ってる」

店頭に置いてある商品を指差した尾関に、
「いいね、美味しそう」

柚愛は言った。

「値段もちょうどいいし、これでいいんじゃないか?」

「そうだね、これにしよっか!」

そう言った柚愛に、
「なあ、ついでに俺たちの分も買わないか?

2個入りのもあるみたいだし、ちょっと食べてみたい」
と、尾関は言った。

「麗一さん…」

あんたが食べたいだけかいと、柚愛は心の中でツッコミを入れた。

「美味しそうじゃん」

口をとがらせて言い返した尾関はまるで子供のようだ。

「それはわかるけど…」

柚愛は仕方がないと言う顔をすると、
「じゃあ、買おうか」
と、言った。
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