お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
「そんな事はございません、社内をご案内致しますので、どうぞお入りください」

もっとニッコリすればいいのにと、羨ましい反面残念な気持ちになった。

私は秘書の女性に案内されて、社内を一通り見て回った。

最後に最上階の社長室へ向かった。

「あのう、すみません、化粧室に行きたいんですが……」

「その角を曲がった所にございます、私はこちらでお待ちしておりますので、早めにお願い出来ますでしょうか」

「あっ、はい、すぐに」

別にトイレに行きたいわけではなかった、慶さんと顔を合わす前に、自分の姿をチェックしたかったのだ。

鏡の前で、笑顔をしてみた。

社員の方々は私を見てなんて思うだろう。

冴えないおばさんって思われるな。

慶さんに恥をかかせてしまうかな。

気持ちの整理がつかないうちに「もうそろそろよろしいでしょうか」と声をかけられてしまった。

「はい、今出ます」

私は化粧室から廊下に出た。

いよいよ、慶さんが待つ社長室の前に着いた。

秘書の女性がノックをする。

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