お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
「社長室まで来ればよかったのに……」

「あっ、行ったんですが……」

「えっ?来たなら声かけてくれたら良かったのに」
俺の問いかけに美鈴の返事はなかった。

「美鈴?」

「もう、切りますね、お仕事中ですよね」

そう言ってスマホは切れた。

美鈴の様子が気になったが、仕事中でどうする事も出来ず、帰宅してから美鈴と話をすればいいと軽く考えていた。

仕事が終わり、マンションへ向かう社用車の中で美鈴に電話をした。

しかし、美鈴のスマホは電源が入っていないメッセージだった。

「あれ、美鈴どうしたんだろう」

「社長、どうかされましたか」

「うん、美鈴のスマホの電源が入っていないんだ」

俺は急に心配になり美鈴の待つマンションへ急いだ。

「美鈴、美鈴」

部屋は真っ暗で、美鈴の姿はなかった。

どこへ行ったんだ。

俺は美鈴を探し回った。

まさか、またマンションの裏庭か?

マンションの裏庭に行ってみると、美鈴はぽつんとベンチに座っていた。

「美鈴!」
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