アキを救えるなら私は何にでもなる
プロローグ
「もし、好きな人が、突然、いなくなったら。」

そんな事を、月島キミは思っていた。

彼女はよっぽどの人思いで、好きな人が出来ると、凄くその人を思うのだ。


今、彼女が好きな人は、三島アキ。


キミの学校の家庭科の先生で、優しくて、かっこいい人だ。


キミは、そんなアキの事が大好きで、人一倍、守りたい、そう思っていた。


アキは、キミにとって、本当に良い人だ。

技術の授業では、キミの隣にいつも座っていて、色々アドバイスしてくれた。
家庭科の授業は、すごく分かりやすかった。

休み時間や、掃除の後、色々雑談や、学校外の愚痴に付き合ってくれた。

文化祭の時、クラスで浮き気味の私と一緒に弁当を食べてくれた。


大掃除の時のアリバイを証明してくれた。


などなど、凄く恩があるのだ。


なので、キミが中学を卒業する、来年の3月までいて欲しいなと願っていた。


だけど、その願いが打ち砕かれるかもという事を聞いた。



来年になったら、キミは、試練になるという事を。



アキがいなくなる可能性が出てきたのだ。


「アキ先生。」 と、キミにとっては、少し暗めな声で呼んだ。


「なあに?キミちゃん」と、いつも通りに返してくれたのを聞いて、キミは安心したのかか、涙が出てきた。


「どうしたの?突然泣いて。」と、アキが言うと、
「アキ先生、先生は、4月、どうなっている?今のまま、ここにいる?」と、泣きながら、キミは質問した。凄く必死に。


「さあ?多分、今のままだと思うけど」と答えた時、また、キミは安心した。その安心も


束の間、


「キミちゃん、明日以降のこと、誰が知ってる?」唐突にアキはそう、質問した。



「神様だけしか知らないんじゃないでしょうか?」こう答えたら、



「ううん。神様さえ知らないのよ。まるで、風が窓を揺らすようにね。」
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