The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜
ああ、そうなんだ。
「そんなこと!私が望んでいると思うの!?私がみんなを殺してまで帰りたいなんて!」
涙が溢れる。
どうしてこうなってしまったのだろう。
何故、私は今泣いているのだろう。
彼らは名前しか知らないただの他人であったはずなのに。
「…そんなの嫌に決まっているよ」
そこまで言って私は思い出した。
全てを。
欲望に忠実で最低最悪だけど少しずつ仲良くなっていった大好きだった彼ら5兄弟たちの存在と、私がそんな5兄弟たちと過ごして来たあの1年間を。
「ギャレット、バッカス」
ギャレットとバッカスの名前を改めて呼ぶ。
「「…」」
2人は最初こそ困ったように私を見ていたが、それはやがて信じられないものを見るような目に変わっていった。
何かを察したのかもしれない。
例えば私が記憶を取り戻した、と気づいたとか。