Every single day
芽ばえ
私は、子供の頃から、いつもオドオドしてしまうところがあった。

父から逃げるような形で母と二人で引っ越してきたので、尚更そうだったのかもしれない。

髪の色や目の色が周りと違うこともまた、かなりコンプレックスだった。

中学生になると、教師からは髪のカラーリングを疑われ、学校側は母に髪色証明書を提出させることまでした。

小学生の頃は「ガイジン」と散々悪口も言われたし、私は自分の容姿に全く自信がなかった。

私のことを可愛いと言ってくれるのは、世界中で母一人だけだった。

道哉と出会うまでは…。


転校初日、一緒の帰り道で

「紫苑ちゃんって、顔も名前も可愛いよね」

無邪気に、道哉はそう言ってくれた。

「冗談でしょう?そんなこと言われたことないもの」

私は髪で顔を隠すようにしたが、道哉はじっと私を見つめて

「うーん、可愛いっていうよりは、フランス人形みたいに綺麗だな」

そう言った道哉の瞳は本当に純粋で、こんな瞳をした人が嘘をつくわけがないと思った。

まだ慣れない名前さえも、道哉に呼ばれると、ずっと前から私は「紫苑」だったような気さえした。
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