Every single day
出逢い
道哉とはじめて出会ったのは、まだ10歳の頃。

私は、日本海側の小さな町から転校してきた。

母が離婚して引っ越したので、私の苗字は変わった。

しかし、新しい苗字は、母の旧姓ではない。

母の旧姓は珍しいので、それだとまずかったのだ。

苗字だけではなく、私も母も、父から見つからないよう、ファーストネームも全く違うものに改名した。

母は生まれてすぐに捨てられ、孤児院育ちだったせいで、自分の両親のことを全く知らないのだが、どう見ても純日本人の容姿ではなかった。

西洋の血が入っているか、もしかすると完全な西洋人なのか…それさえも全くわからない。

母に似た私は、バタ臭い容姿で昔から悪目立ちしていた。

おまけに何しろ母子家庭で田舎娘だから…いじめられないか、とても不安だった。

そもそも、紫苑という自分の新しい名前にも何処か違和感があった。


クラスで席が隣になった男の子は、普段はおとなしいのに、転校生である私に一生懸命話しかけてくれた。

言うまでもなく、その子が道哉である。

そして、なんと家もすぐ近くだった。

「名前、紫苑っていうんだ?綺麗な名前だね」

道哉はそう言ってくれたけれど、その時点では、私は元々は全く違う名前だったことなど、言えやしなかった。

でも、道哉が誉めてくれたから…せっかく母がつけてくれたものの、まだ違和感のある紫苑という名前も好きになれた。
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