Every single day
現在
「室井さん!」

なんとなくつけたままのテレビのなかで役者が叫んだ。

どうやら、何かドラマをやっているようだった。

私は、帽子を買ってくれた人へのメッセージカードを書いていた。

そして、最後に水上紫苑、と名前を書いた。

ふと、テーブルの向こうで、道哉が頬杖ついたまま、じーっと私を見ていることに気付いた。

「どうしたの?」

「ん?いや…もう大丈夫みたいで安心したよ」

「え?」

「だから…古傷を抉りたくはないけど…ムロイとかジュンコって名前に全く反応しなくなって、ほっとしたんだ」

「あ…」
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