旦那様は征服者~琉聖編~
逆らえない
琉聖は事務所に戻り、ある男を待っていた。
「琉聖さん!茂和の兄貴来てますよ!」
利郎が、煙草を吸いながら窓の外を見ていた琉聖に、声をかけた。
「うん、通して?」

「琉ちゃん、お疲れ!」
「うん、しーちゃんごめんね。
わざわざありがとう」
「ううん。琉ちゃんの頼みなら、どこからも駆けつけるよ。琉ちゃん、悲しそう……どうしたの?」
デスクの上に腰かけ、脚を組んだ茂和。
椅子にもたれて座っている、琉聖の顔を覗き込んだ。

「俺の小梢に手を出そうとしてる男がいるんだ……」
「そう…酷いね……」
「しーちゃんなら、どうにかできる?」
「もちろん!どうしてほしい?」
琉聖の頭を撫でる、茂和。

「消してほしい。もう二度と…小梢の前に現れないように」
「いいよ!消しておくよ。消しゴムで消すみたいに…」
「あ、でも…時期は少しだけ待って?」
「うん、いいけど…どうして?」
「今回だけは目を瞑るって、小梢と約束したんだ。
それに、もう少し観察してみたい」
「あぁ…そうゆうことね。
じゃあ、今日中に監視カメラ設置しとくよ!」
「ありがと」
微笑む、琉聖。

琉聖と茂和。
幼なじみであり、兄弟のようなものだ。
茂和の父親は、裏の掃除屋と呼ばれる最強の男で琉聖の父親とも深く関わっていた。
そのせいか幼い頃は、兄弟のようにいつも二人で過ごしていた仲だ。

茂和も父親の後を継ぐように、裏の世界の事をおこなっている。
だから琉聖は、事あるごとに茂和にお願いしているのだ。

「小梢さんはモテモテっすね!」
シュッ━━━!!
パリーン!!!

「利郎、ダメだよ!小梢のこと必要以上に考えたら……
しーちゃんにその頭の中のモノ、消してもらおうか?」
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