旦那様は征服者~琉聖編~
「小梢、泣かないで?」
「仕事、まだまだ頑張りたかったなぁ……」

退職届けを出した日の夜。
マンションに帰ってきてからずっと泣いている小梢。
琉聖がずっと、頭を撫でながら話を聞いていた。

「うん。小梢、毎日頑張ってたもんね…!」
「やっぱ、私のせいなのかなぁ……みんながいなくなったこと……」
「そんなわけないよ。
どこにそんな証拠があるの?」
「琉聖は信じてくれるの?」
「当たり前でしょ!?小梢は、嘘なんかつかないし、可愛くて、優しくて、控え目だけど癒し系なんだ。
そんな人が、職場の人を消すなんてあり得ない!」
「………琉聖…ありがとう…!」
「うん…大丈夫。俺が守るからね。小梢は仕事なんかしなくていいんだよ。ここで俺のことだけを待っててくれたら、それで十分なんだよ!」

まさか会社に監視カメラが設置されていたなんて、夢にも思わない小梢。
全く琉聖のことを、不信にも思っていなかったのだ。

「琉聖…」
「可愛い…小梢……」
「琉聖…好き…」
裸で抱き合う二人。
組み敷かれている小梢は、琉聖の口唇に手を伸ばす。

パクッと咥えた、琉聖。
「小梢、綺麗……」
「………/////」
薄くついたスタンドライトの明かりが琉聖を照らし、小梢の指を咥えている姿がとても妖しく綺麗だ。
小梢はそんな琉聖に、身体が昂るのを感じていた。

「綺麗なのは…琉聖だよ……」
ほんとに、自分の旦那かと疑う程の美しさだ。


しかしこの妖しい美しい人は、とても残酷で恐ろしいのだ。
この時の小梢には、まだ知るよしもない。
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