喧嘩最強男子の溺愛

「じゃ、冬から好きな人ってなに?」

「帆乃香さ、冬休み頃からあの公園に来ていただろ。俺、その時からずっと帆乃香のこと気になってたんだ。春になって海人が帆乃香と仲良くなったから俺たちは出会ったみたいになってるけど、俺は海人と帆乃香が仲良くなるずっと前から、帆乃香を見てたんだよ」

「そんなの知らないもん」

そんな事って、ある? 私の一方通行だと思っていた片想いが、両想いだったなんて。

「帆乃香、こっち見て」

郁人は私を抱きしめていた手を解くと私の顔を覗き込み、親指で私の涙を拭ってくれた。

郁人の顔との距離が30センチもない。

こんなに近くで郁人の顔を見たことがないから、どこを見ていいのか分からなくて。

「帆乃香、俺の目を見て。うん、そう」

近いって。恥ずかしいって。ああ、郁人の目を見つめるの、もう限界。

「上野帆乃香さん、俺とお付き合いしてもらえませんか」

郁人の整った顔。少し薄い唇から発せられた言葉にめまいを覚えた。

「郁人、苦しいの。胸が締め付けられるくらい苦しい。本当なの? ね、夢じゃない?」

「ふっ。夢じゃないよ。好きだよ、帆乃香」

「私も、大好き。これからずっとずっと、よろしくお願いします」

「ああ。帆乃香のこと絶対に大切にするから」

郁人と両想いになったの? まだ信じられない。

お互いが好きだって告白して。とても幸せを感じて。

それなのに何故か涙が出てきて。悲しい涙じゃない。

説明できない感情からくる涙。

私は郁人に抱きしめられながら、その胸の中で泣いていた。


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