喧嘩最強男子の溺愛

会場に着くとすでに凄い人で。手を繋いでいないと迷子になってしまいそうだった。

花火が打ちあがるまでまだ時間があったから、海人くんが食べたいものを買うことにして屋台を眺めながら3人で歩いていた。

「僕、綿あめがいい。郁人、買ってきて」

「なんで俺が買いに行かなきゃならねーんだよ。綿あめ屋なんてどこにあった? 自分で買って来いよ、海人」

「海人くん1人じゃ無理だよ。3人で買いに行こうよ」

「帆乃香は浴衣で動きにくいだろ。いいよ、俺が店探して買ってくるから。帆乃香は何食べたい?」

「私のも買ってきてくれるの? じゃあ、リンゴ飴がいい。小さいリンゴのやつね。お願いします!」

「了解! じゃ、帆乃香と海人はあの金魚すくいの店の裏にいて。絶対に動くなよ。海人、帆乃香のこと守っとけよ。変なヤツが来たら、海人が守るんだぞ」

「分かってるよ。僕も強いんだから。郁人は早く綿あめ買ってきて」

「チッ、クソガキ」

ぶつぶつ文句を言いながら郁人は人混みに消えていった。

金魚すくいのお店の隣にお面屋さんがあったから、

「ね、ね、海人くん。お面買わない? 海人くんはどれがいい?」

「僕は、マリオがいい。帆乃香は?」

「うーん、私はミニーにしようかな。郁人には何がいいと思う?」

「郁人はねぇ、ミッキーがいいよ。帆乃香とペアになるじゃん。帆乃香だって郁人とお揃いにしたいんでしょ?」

「そっ、そんなことないよ。やだな海人くん。じゃ私はルイージにしようかな」

「無理するなよ。ミッキーとミニーにしなよ」

「海人くんがそこまで言うなら・・・。そうする」

いつの間に海人くんがこんな生意気になったんだか。

絶対に郁人の影響だな。

もっと海人くんは純粋な子だったのに。

お面を3個買うと、また金魚すくいのお店の後ろへ移動して、海人くんとお面をつけて、そのお面のマネをして遊んでいた。

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