そのサキュバスは夢を見る

強引な客の、反抗される望み

私は本当にどうしてしまったのか、ティト様の言葉の一つ一つがとても嬉しく感じてしまった。

私はティト様と別れたあと、いただいた面を着け、いつものように昼間の町に紛れた。



夜になり、私はいつものようにお客様を待つ。

「ナンネ、最近見なかったじゃないか。今日は私の相手だ。さあ来い。」

私のもとに来たのは、いつかの獅子のお客様だった。

「はい。」

その方は私の手を強く引き、逢瀬に誘う。

私は知っている。
このお客様は、抵抗する私を押さえつけながら身体を重ねるのが望みだった。
今まで何度もそうだったように、力が強い彼との逢瀬のあと、私の身体には必ずあざが残る。


連れられて来た宿に着くとすぐさま、お客様は私に詰め寄る。

「ナンネ、何度言ったら分かるんだ?このままでは仕置きだ。私はお前の身体に言うことを聞かせるのが好きなんだ、分かるだろう?」

早速の逢瀬、演技の始まり。

「『嫌です旦那様。あなたの言うことなど私は聞きません。』」

私は出来るだけ冷めた声で応え顔を背ける。
彼は私の顎を持ち上げて顔を上向かせ、ギラ付いた目で睨んだ。

「ナンネ、お前はとても反抗的なメイドだ。本当に私の言うことを聞きたくないのか?」

「『はい。…そのお話だけなのであれば結構ですわ。私は失礼致します。仕事に戻りますので。』」

私は前の逢瀬の際にお願いされたことを守るだけ。

私は済ました顔でそう言うと、部屋の戸に向かう。

「待て!」

後ろから強く抱きつく彼に、私は痛みからこっそり顔をしかめる。
それでも冷めた声で続けた。

「『…離して頂けますか?旦那様の言うことなど、決して私は聞きませんわ。』」

ニヤリと笑う彼。

「私の言うことを聞けないとは…仕置きが必要か?ナンネ!」

彼は私をベッドに突き飛ばし、馬乗りに身体を抑え込む。

「っあ…!!」

「反抗的なメイドは私が言うことを聞かせてやる!その身体にな!!」

「い…『嫌あっ!!』」

とにかく私が抵抗すること。それがこの方の望み…

「痛め付けてでも言うことを聞かせてやる!」

引き裂かれた服でなお逃げようと必死にもがき続ける私。

「『お仕置きなんて嫌ですっ!!』」

彼は私の身体を後ろから片腕で強く抱き締めたまま、私の奥に指を差し入れて勢いよく掻き回した。

「っ!!」

次第に私の中の水音が大きく響く。

声が出てしまいそうなのを必死に堪えながら、もがき反抗を続ける。

「もう感じ始めたか!反抗的でいやらしいサキュバスのメイドは、言葉とは裏腹に身体は正直なものだ!」

「っ…『止めてください旦那さ…』っ…!!」

突然の斜め上からの強い口付けに言葉を遮られ息が苦しい。
密着した彼の身体から感じる熱が、すでに昂ぶり始めているのが分かった。
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