一番好きなのは、キミだから



困る……そうだよね。

真宙くんは、他に好きな子がいるんだから。

あたしと、そんなふうに言われたら……。



「だってさ。こんな他の皆のいる教室で、七星ちゃんと " お似合い " だなんて言われたら……嬉しすぎて俺、ニヤケが止まんなくなるから……困る」


真宙くんが、手の甲で口を押さえる。


「え!?」


「ん? 俺なんか変なこと言った?」


真宙くんが、首を傾ける。


「いや……真宙くんって、好きな子がいるんでしょう? だから……他の子にあたしと誤解されるようなことを言われたら……」


「うん、いるよ? 好きな子」


真宙くんの口元が、イヤホンをしていないほうのあたしの左耳に近づいてくる。


「なんか、もし勘違いとかされてたらイヤだから言っとくけど。俺の好きな子は……」



< 78 / 248 >

この作品をシェア

pagetop