一番好きなのは、キミだから



それからは学校で、真宙くんのことを無意識に目で追いかけるようになっていて。


真宙くんと会って少しでも話せたときは、とてつもなく嬉しくて。


気づいたときには、もう真宙くんを好きになっていた。


だけど……。


明るくてかっこいい真宙くんは、学校の人気者。ファンの女の子が、沢山いる。


且つ、彼は隣のクラスだから。


あたしは勇気が出せずに、なかなか学校で話しかけることができなかった。


最近になってようやく、学校の廊下ですれ違ったときには、お互い挨拶をするようになったけど。その程度の関係だ。


だから……たまたま真宙くんが、あたしのバイト先の常連さんで良かったなって、心の底から思うんだ。



ちなみにこれは、真宙くんから聞いた話。


真宙くんの家族。ご両親と妹さんと真宙くんの4人みんなケーキが大好きで。


週に1回、今週も仕事や学校を頑張ったご褒美として、週末に家族みんなでケーキを食べるらしい。


それで真宙くんは、毎週土曜日の夕方。

部活終わりにこのケーキ屋に必ず寄って、ケーキを買って帰る。


そのおかげであたしは、真宙くんと学校以外の場所で会うことができている。


真宙くんと……少しでも繋がりを持てている。


でも……欲を言うならば。


ケーキ屋さんの" お客様 " と " 店員 " っていうだけではなく。


真宙くんの彼女……は、さすがに欲張りすぎ?


せめて……クラスメイト。
いや、友達という肩書きが欲しい。


だから……春休み明けの4月の高校2年生でのクラス替えでは、できれば真宙くんと同じクラスになりたいです──。


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