訳あり令嬢は次期公爵様からの溺愛とプロポーズから逃げ出したい
フューレアとしては、式を続行する気満々だったのだが、色々な人に止められた。ギルフォードも切ない顔をして止めた内の一人だった。
「わたしはどこに連れて行かれようともあなた以外選ばない」
「きみがどこへ行こうとも、絶対に離さないよ」
あの様子では、エデュアルトが身を隠していた場所も絶対に掴んでいたとフューレアは踏んでいる。
フューレアの銀色の髪の毛を、ギルフォードが優しく撫でた。
結局結婚式が延期となったため、フューレアが戻ってきたのはナフテハール男爵家だ。
今朝、とってもしんみりして出て行ったはずの自分の部屋にまた戻ってくる羽目になってしまった。
気持ちとしてはすでにギルフォードの妻、なのだが夫婦の誓いもまだだし結婚証明書には、署名はした。
ということはギルフォードの妻でいいのではないか。
(うーん……でも、まだ夫婦の誓いの口付けをしていないわ。やっぱり、あれが済んでからでないと夫婦とは言えないわよね。うん)
初めての口付けのシチュエーションは凝りたい。
ここまで大切に取っておいたのだから、やっぱり最初は結婚式の誓いの場が相応しいのではないか。
「どうしたの? どこかつらい?」
黙り込んだフューレアをギルフォードが気遣う。
「ううん。なんでもないわ。わたし、元気なのよ」
「薬を盛られそうになったんだから、数日は静養していないと駄目だ」
ギルフォードの口調が硬いものになる。
心配してくれているのはとても嬉しいのだが、彼はやっぱり過保護だ。
「ローステッド嬢はどうなるのかしら……。あなた、聞いている?」
結婚式に乱入をしたヴィヴィアンのことは、フューレアとしても気がかりだった。落ち着いて、あのときの状況を思い出してみると、彼女は正気ではなかった気がする。でなければ侯爵家の娘として育てられた彼女が妃との結婚式で暴れるなどありえない。
「彼女の身柄についても心配は要らないよ。悪いようにはしないと父も話している。どこかで静養することになるだろう」
「そう」
フューレアはホッと息を吐いた。
彼女とは色々あったけれど、あまりひどい目にあってはほしくない。
「まったく、フューは優しいな」
「きっと、みんながわたしによくしてくれるからよ」
フューレアはギルフォードを見上げた。
柔らかな視線が一心にこちらに注いでいる。
この瞳が、真実フューレアを慈しんでいるとわかるから、フューレアは寛大になれるのだと思う。
「残すはわたしたちの結婚式ね! 明日でも大丈夫よ、わたしは」
「私も早くきみを正真正銘私のものにしてしまいたいけれど……」
結婚式を延期したのだから、じゃあすぐにとはいかないのだろう。
招待客の都合もあるし、ドレスのほつれを直したり食事の手配をしたり色々と。
その後、二人で他愛もない話をして、ギルフォードは本当に辛そうにフューレアの部屋から去っていった。
フューレアが考えるよりも、彼の精神的ダメージの方が大きいのかもしれない。
フューレアだって、十分に寂しいのだが。
最後に、口付けしたいと言われたフューレアはさっと顔を横に向けのだ。やっぱり、ここまで来たのだから最初は大事に取っておきたい。釣れない花嫁に、ギルフォードは苦笑をして、けれども最後はフューレアの意見を尊重してくれた。
「わたしだって、早くあなたのお嫁さんになりたいのよ?」
窓の外を見やり、フューレアは一人きりの部屋でそっと呟いた。
「わたしはどこに連れて行かれようともあなた以外選ばない」
「きみがどこへ行こうとも、絶対に離さないよ」
あの様子では、エデュアルトが身を隠していた場所も絶対に掴んでいたとフューレアは踏んでいる。
フューレアの銀色の髪の毛を、ギルフォードが優しく撫でた。
結局結婚式が延期となったため、フューレアが戻ってきたのはナフテハール男爵家だ。
今朝、とってもしんみりして出て行ったはずの自分の部屋にまた戻ってくる羽目になってしまった。
気持ちとしてはすでにギルフォードの妻、なのだが夫婦の誓いもまだだし結婚証明書には、署名はした。
ということはギルフォードの妻でいいのではないか。
(うーん……でも、まだ夫婦の誓いの口付けをしていないわ。やっぱり、あれが済んでからでないと夫婦とは言えないわよね。うん)
初めての口付けのシチュエーションは凝りたい。
ここまで大切に取っておいたのだから、やっぱり最初は結婚式の誓いの場が相応しいのではないか。
「どうしたの? どこかつらい?」
黙り込んだフューレアをギルフォードが気遣う。
「ううん。なんでもないわ。わたし、元気なのよ」
「薬を盛られそうになったんだから、数日は静養していないと駄目だ」
ギルフォードの口調が硬いものになる。
心配してくれているのはとても嬉しいのだが、彼はやっぱり過保護だ。
「ローステッド嬢はどうなるのかしら……。あなた、聞いている?」
結婚式に乱入をしたヴィヴィアンのことは、フューレアとしても気がかりだった。落ち着いて、あのときの状況を思い出してみると、彼女は正気ではなかった気がする。でなければ侯爵家の娘として育てられた彼女が妃との結婚式で暴れるなどありえない。
「彼女の身柄についても心配は要らないよ。悪いようにはしないと父も話している。どこかで静養することになるだろう」
「そう」
フューレアはホッと息を吐いた。
彼女とは色々あったけれど、あまりひどい目にあってはほしくない。
「まったく、フューは優しいな」
「きっと、みんながわたしによくしてくれるからよ」
フューレアはギルフォードを見上げた。
柔らかな視線が一心にこちらに注いでいる。
この瞳が、真実フューレアを慈しんでいるとわかるから、フューレアは寛大になれるのだと思う。
「残すはわたしたちの結婚式ね! 明日でも大丈夫よ、わたしは」
「私も早くきみを正真正銘私のものにしてしまいたいけれど……」
結婚式を延期したのだから、じゃあすぐにとはいかないのだろう。
招待客の都合もあるし、ドレスのほつれを直したり食事の手配をしたり色々と。
その後、二人で他愛もない話をして、ギルフォードは本当に辛そうにフューレアの部屋から去っていった。
フューレアが考えるよりも、彼の精神的ダメージの方が大きいのかもしれない。
フューレアだって、十分に寂しいのだが。
最後に、口付けしたいと言われたフューレアはさっと顔を横に向けのだ。やっぱり、ここまで来たのだから最初は大事に取っておきたい。釣れない花嫁に、ギルフォードは苦笑をして、けれども最後はフューレアの意見を尊重してくれた。
「わたしだって、早くあなたのお嫁さんになりたいのよ?」
窓の外を見やり、フューレアは一人きりの部屋でそっと呟いた。