【完結】この愛だけは決して揺るがない〜永遠の愛誓います〜


「……ふぅっ」

 急患の対応に追われていたが、午後14時になって、ようやく昼食を取ることが出来た。

「加古川先生」

「あ、川富(かわとみ)先生」

 昼食はいつどこで何が起こるか分からないため、片手で食べられるサンドイッチやおにぎりなどを食すことが多い。それかお決まりのカップラーメン。

「お疲れ様です」

「お疲れ様です。さっきは大変、でしたね」

「ああ……ちょっとバタバタしてたな」

 さっき運ばれてきた患者の中で、最も重症だったのは心タンポナーデを発症していた患者だった。患者は50代の男性。心筋梗塞を患っていたため、あと少し遅ければ、もしかしたら手遅れになっていたかもしれない。

「あ、さっき転んで頭を打って脳震盪を起こしていた患者さんですが……一応CTやMRIなどを取りましたが、特に脳内出血などの症状は見られていませんでした。 ただ転んだ衝撃で左腕を強打したようで、ヒビが入っていました。今は包帯で固定しています」

「そうか。とりあえず大事には至らなくて良かったって感じか……」

「そうですね」

 だけど医者は時々、残酷だ。
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