今日からはじまる恋の話


「は? なんでお前がキレてんの? つーか俺お前の先輩だけど?」

「先輩とか今は関係ねーよ。なんの権利があって零士のこと笑ってんだよ!」

鈴村は俺のことを(かば)うように間に入ってきた。

「お前もなんの権利があって怒ってるわけ?」

「俺は……」

「え、ひょっとしてお前らデキてるとか? まさか陽汰もゲイだったの?」

最悪の展開だ。自分自身が好奇の目に(さら)されることは耐えられる。でも鈴村に同じ視線が送られることだけは耐えられない。


「ち、違う。鈴村は――」

「だったらなんなんだよ。俺は零士のことが好きだけど、それがなに? 零士は誰かに否定される生き方なんてしてねーよ。それで俺の気持ちも否定される義理はない。今度こいつのことを笑ったらマジで許さねーから」


「行くぞ」と鈴村に手を引っ張られた。

明日から鈴村への視線が冷たくなる。今まで築いてきた友達関係も壊したかもしれない。早く戻って鈴村は違うと、説明しなきゃいけない。

なのに、鈴村が離してくれないから、俺から手を払うことなんてできなかった……。
 
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