やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

頭痛がやまない週明け月曜日


 はあっと溢れる長い息を吐き、目の前のお弁当を見つめる。
 一人暮らしは食費の管理も厳しいのだ。
 まだ社会人一年目。公務員とて、それ程のものでは無い。加えて趣味は貯金な私であり、目指せ幸せな老後生活! をスローガンに掲げる私の辞書に無駄遣いの文字は、あるけど無い。

 しかし今はそんな節制弁当と睨めっこしては箸が進まないでいる。理由は勿論──

「雪子ったら、河村さんと知り合いだなんて、羨ましいすぎるー。ね、後で紹介してね!」
「……だから大学が同じってだけで、接点なんて無いんだって……」
「ちょっと止めてー、私の恋のチャンスを潰さないでー!」

 同僚の美夏はうきうきである。こちらの話は聞いちゃくれないようだ……
 週明けの月曜日、河村君は私が務める部署の研修にいた。

 え、河村君て……同じ職場だったの?

 私は学生時代の希望通り、公務員になった。
 河村君も同じ志望だったとは勿論知らないが、そもそも省庁も一緒だったなんて、驚きすぎる。

 私は勿論放心した。
 ……身分証に見覚えがあったのは、勤め先が同じだったから。という訳で……お酒って怖いって、改めて思う。
< 14 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop