やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
自分が十代だったら、まだ三上さんと会っていなかったら、可愛いと浮かれていたかもしれない日向の女。
(見てくれは確かにそうなんだろう。けれど……)
面倒臭そうだな、と思った。
振り回されるのが好きな奴だったら楽しいのかもしれないけれど、ずっと一緒にいるのは疲れると思う。ころころと変わるあの表情に、自然と溢れる涙。意図してなのか違うのかはわからないが、相手を翻弄させるのに長けているように感じた。
それでも、さっきの女がどれ程泣こうと、笑おうと、三上さんがいる以上、何とも思えない。多分もう、誰でも、そうなのだ……
「送るよ……」
気を取り直して口にすれば、視線を逸らしたまま彼女は俺の手から擦り抜けた。
「……ごめん、今日はいい……まだ明るいし……ちょっと一人で考えたいんだ。ありがとね」
気丈に笑う姿に、ざわりと嫌な予感が走る。
「でもっ」
追い縋るように発した声に、けれど彼女は止まらずに、一歩二歩と俺から離れて。
「大丈夫よ」
そう言って笑って、走り去って行っていった。