やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

 研修期間中の姿勢を思い出す。
(誰に対しても等しく親切で、それでいて一歩引いて接していた。多分、女性に、誤解をされないように……)

 だから、自分だけが特別な訳ではなくて……

 そして、だからこそこんな関係を続けるのは間違っている。

 智樹との事に区切りがついたのは、最近で、情けも、つい今まで持っていたくらいなのに……

(浮かれないようにしないと)

 愛莉より、彼女に打ちのめされてた自分より、河村の一挙手一投足が気になって仕方がない。
 ぐっと唇を噛み締め、一人ごちる。
 
「暫く距離を置かなくちゃ」
 
 だって──
 好きだと言う気持ちに支配されたら駄目だ。
 
(智樹みたいな関係になるのは、もう嫌。だったら──)

 友達のままがいい……
 
 昂りそうになる自分の気持ちから逃げるように、必死に足を動かした。
< 90 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop