【完】夢見るマリアージュ

「私は友達もいないし…休日にする事がないんです。 上京してきてから東京にはお洒落なカフェが沢山あるのを知って…
興味はあるんですけど、入るのはなんか忍びなくって…
だから自分で作って見ようって始めた趣味なんですよ、だから本当に大した事はないんです」

「でもすごいと思う。 いやー俺甘い物には目がなくって、城田さんのお菓子食べてみたいなあー」

心からの本音だった。 少し離れた隣を歩く城田さんは顔を上げて、小さな声で言った。

「今度食べてみます??じ、自分しか食べた事ないから、あ、味には自信がないんですけどっ!」

「本当?!是非是非食べてみたい!!
絶対美味しいでしょう~。うわあ、嬉しいなあ。」

初めて話をした時、感じた空気感。 ゆっくりとおっとりと流れる時間。
同じ趣味な事。
実は好きな事や好きな時間が似ている事。 それを知るのはもう少し先の事だ。

秋の始まり。 自信がなくいつも俯いてばかりの 君との始まりだ。

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