ふたつ名の令嬢と龍の託宣

【第22話 嘆きの唄】

 唄が聞こえる。
 会えない恋人を切なく想う、ありきたりな愛の唄だ。

 甘やかなその唄声は、真っ青な空に溶けるように吸い込まれていく。高く低く。時にはひそやかに。

 彼女は今日も哀しく唄う。

 届かぬ嘆きを、ただそこにのせて――



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