ふたつ名の令嬢と龍の託宣

プロローグ

 夏短き北の小国ブラオエルシュタイン。

 龍の加護を受けしこの国は、授かった託宣を()()に長く太平の世を過ごしてきた。

 運命を背負いし者たちは、龍の言霊(ことだま)に逆らうことも許されず、それでも懸命にあがき続ける。その先にある明日(あす)を信じて……

 そして今、新たな歯車が静かに噛み合い、互いの宿命を動かしはじめる。聞こえてくるは祈りか、慟哭(どうこく)か。

 ここに謳うのは、龍に選ばれし者たちの秘めやかな愛の物語――







< 1,625 / 2,019 >

この作品をシェア

pagetop