ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「あんっあ、今、も、だめ、もぅ、うごいちゃ、あっ、ンぁ、も、だめぇっ」

 広げられた両足が、限界を超えてがくがくと震えた。涙をこぼしながらいやいやと首を振ると、ジークヴァルトはその動きを止めた。

「あ……はっ……」

 足をそろえて下に降ろされる。楽になった姿勢で、リーゼロッテは荒い息を整えようとした。
 (つな)がったままの体が離れないように、ジークヴァルトは慎重にリーゼロッテを横に倒した。斜めになったその姿勢で、後ろから律動が再開される。

「んっふっフぁ、アぁ、ん、あ、ヴぁるとさま、ん……ぁまって……っ」

 体勢はつらくはないが、さっきと違った角度から激しく突き上げられた。(しず)まりかけていた快楽が、容赦(ようしゃ)なく呼び戻される。

「いやっあアんっ、あっ、あ、あぁん、ああぁあン……!」

 リネンにしがみついたまま、何度も大きく揺さぶられた。もう何もかもが分からなくなって、シーツに顔をうずめたリーゼロッテは、ただ嬌声を上げ続ける。
 そこをジークヴァルトに引き上げられた。顔を上向かされて、荒い息で唇を塞がれる。片足を肩に(かつ)がれると、さらに深くを穿(うが)たれた。

 高みに登ったまま、降りてこられない。それがどうしようもなく怖かった。それなのにジークヴァルトは止まらなくて、何度も何度も絶頂の中へと押し上げられる。

「リーゼロッテ……お前を、もうっ、どこへも行かせない……!」
「あああ、そんっな、に、ゆ、らしちゃ、いやぁ……っ」

 意識が飛ぶ寸前、リーゼロッテのいちばん奥で、ジークヴァルトの青の波動が解き放たれる。


 体を突き抜けていくその快感に、深く溺れたまま、リーゼロッテの記憶はそこでぷつりと途絶えた。





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