ふたつ名の令嬢と龍の託宣

プロローグ

 龍の加護に守られしブラオエルシュタイン。

 一年の半分を雪に閉ざされるこの小国は、龍から賜る託宣により長く平和を約束されてきた。龍の指し示すまま歴史は流れ、平和の意味を考えるべくもなく、穏やかに時間は過ぎていく。

 人の心はままならぬもの。龍は人の子らに何を求める。
 王子の託宣をめぐり、事態は今ゆるやかに動き出す…… その先に待つのは悠久の平穏か、新たなる兆しか。

 ここに記すは、龍に愛されし者たちの小さな愛の物語――

< 679 / 2,019 >

この作品をシェア

pagetop