総長様の溺愛は、甘すぎます。
「帰るぞ。」

さっきの怖い声とは真逆の、優しい声が私に向けられる。

…凌さんの力って凄いんだなぁ…。

頷くと、凌さんは私の反応を見て、微笑んだ。

人混みをぬけて、凌さんに手を引かれるまま歩く。

「凌さん…」

どのタイミングで聞こう…。

学園を出ると、凌さんは1度立ち止まって、手の繋ぎ方を変えた。

指を絡める…いわゆる恋人繋ぎっていうやつでは……

恥ずかしくて、顔を赤くすると、そんな私を見て凌さんは目を細めて笑った。

「っっ……」

そんな顔を見てしまったら、もう何も言えなくなる。

私は黙って凌さんの後ろを歩いた。

付き合うって、どういう事なのかな……。
そういうのに疎いから、凌さんの反応を見ても分からない。
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