悪魔の僕は天使の君に恋をする
* * *

ルナと百合と別れた後、ハルのスマホが鳴り響き始めた。


「電話だ……ちょっと出てくるね」


涼介を病室に残し、ハルは廊下に出た。


「もしもし……」


『おぉハル。修行の調子はどうだ?』

 
「お父様……うん。順調です」


『そうかそうか……婚約者も待っている。早く終わらせて、天界に帰ってくるのだぞ。お前は大天使の娘だ。くれぐれも失態のないようにな』


「はい……分かってます」


ハルは短く答えて電話を切った。

婚約者だの、大天使の娘だの、もううんざりだった。


(結局、お父様は自分のメンツが大事なんだ)


婚約者だって、近頃権力を強めている大天使の若者を適当に選んだだけだった。しかも、独占欲が強いと噂の。

そこにハルの意思は関係なかった。

嫌なことを思い出してしまい、ハルは思わず溜息をついた。


(みんながみんな、周りのために生きてくれたら良いのに。例えば、ルナみたいに)


ハルはルナのお人好しさを思い出し、少し微笑んだ。


(早く連絡、来ないかな……)


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