ハートに火をつけて



そして夏を過ぎた頃、3人の輪の中にユカちゃんが加わるようになった。
ユカちゃんのあからさまな態度を見て俺はすぐにああ、このコ俺のことが
好きなんだ、と気付いたけど、俺は特に何の興味もなかったから適当に
流してた。

桜井の態度が急に冷たくなったのもこの頃だ。4人でいるときはなんと
なく口数も少なくなって、俺が話を振っても軽く相槌を打つ程度だった。
でもその反面、一人でいるときの桜井とは教室以外の場所で偶然すれ違う
ときやテニスコートの金網越しに目が合うことが多くなった。そんなことを
繰り返しているうちに、俺はいつのまにか桜井の姿を目で追っていた。



まあ一言でいえば、昨日俺は玉砕したわけだ。
だけど家でベッドに倒れこんで天井を見上げたとき、俺は重要なことに
気がついた。俺、一番肝心なこと聞いてないじゃん。
友達のことなんてどうでもいいよ。俺が一番知りたいのは、『桜井は俺の
ことどう思ってんの?』ってことだ。



俺のこと好きになって、なんていわないよ

でも『友達が、』なんてセリフはいらない

今の桜井の気持ちを聞かせてよ

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