恋愛計算は間違える(アルバートとテレーサ)

ブランシュール城・16時 3-5ページ

<ブランシュール城・16時10分>

「こんな辺境に
追いやられるとは、
俺もそろそろ厄介者になったということか」
アルは、
10年間の年月を感じていた。

俺も30代だ・・・・
もう若くはない。

中央政権も代替わりして、
彼の処遇の落としどころを考えて
実は困っているのだろう。


両国の長期の紛争で、
国民は疲弊(ひへい)していた

経済の立て直しは急務だった。
戦うより先に
やるべき事があるだろう・・・
両国の思惑は一致していた。

「俺を病気で死んだことに
したいのか・・?」

アルは管理官に聞いた。
「さあね・・知らんよ・・
お前を送り届けるのが俺の仕事だ」

ここは隣国に近い・・
勝手に逃げ出して帰れという事か?

口封じなら、
とっくに殺されているだろうが・・

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