王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~

【琥珀の嫉妬】

「琥珀!こっち!」
恵也が琥珀に手招きする。
「恵也!わりぃ、遅くなった!」
「王子だ!」
「琥珀さん!お久しぶりっす!
結婚おめでとうございます!」
恵也の知り合いの居酒屋に集まっている、琥珀の仲間達。今日は貸切だ。
仲間とは、暴走族のこと。
もちろん椿姫は、琥珀が暴走族に所属していたなんて知らない。

椿姫は籠の中の鳥だったのに対し、琥珀は会社に入社するまでそれなりに自由に生きてきた。
それでも琢巳からのかなりの圧力があった為、その反抗心から当時最強だったチームに所属したのだ。

「いつ見ても綺麗っね!琥珀さん」
「は?キモい、緑郎」
「やっぱ、姫様連れて来てねぇみたいだな…!」
「当たり前だろ?あり得ない!」
「見ろよ、これ!綺麗だよなぁ~姫様」
恵也が見せてくれた雑誌には、琥珀と椿姫がしっかり写っていた。

「━━━━━!!!」
琥珀はその雑誌を乱暴に掴み、グシャッと握りつぶした。
「ちょっと!何すんだよ!?」
「恵也」
「え━━?琥…珀……?」
「言ったよな…?椿姫のこと考えるなって。
マジで殺るぞ………!」
そこにはどす黒い雰囲気に包まれた琥珀がいた。

「琥珀、その雰囲気…抑えろよ!
お前の“殺るぞ”は冗談じゃすまねぇからな……」
俊太が琥珀の肩に手を乗せ、収めるように言った。
「あぁ、そうだな」
「せっかくの集まりだろ?」

「でもよ…あの野獣が、今や副社長だもんな!
世も末だな…!」
みんな煙草を吸い、酒を飲みながら思い出話に花を咲かせていた。
「野獣って、久しぶりに言われたな」
俊太の言葉に、琥珀が煙草の煙を天井に吹きながら答えた。
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