婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました

メイナードは目元を和らげ優しい目でアレクシアを見つめた。

「アレクシアが毎晩薬を塗ってくれたおかげだな」

「私は大したことは……でもお役に立ててよかったです」

嬉しくなって隣に座るメイナードに身を寄せる。最近の夫はそんなアレクシアを優しく受け入れてくれるようになっていた。

「もう仮面を付けなくてもいいのに」

メイナードは、ふたりきりの時は素顔でいるが、外では未だに仮面をつけている。

「しばらくはこのままでいる。いずれ時期を見て、外していこうと思っているが」

「そうなんですか?」

「あまりイライアスを刺激したくないからな」

「王太子殿下を?」

なぜここで王太子の名前が出てくるのだろう。そう言えば、メイナードとイライアスについて話したことがほとんどなかったことに気がついた。

アレクシアの中で、イライアスの存在がほとんど消えていたからだ。
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