婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
そのため、普段は一緒に取らない。

急な誘いは、なにか大切な用件があるからだろう。

ルイからの手紙について相談したいけれど、そんな余裕はないかもしれない。

アレクシアは急ぎ支度を整えて、メイナードの私室に向かった。

彼の部屋の居間のテーブルには、配膳したばかりだとみられる、ふたり分の料理が並んでいた。

「アレクシア、急に呼び出してすまない」

「おはようございます、メイナード様。私なら大丈夫ですから気になさらないでください」

アレクシアはメイナードが引いてくれた椅子に腰を下ろす。

彼は正面の椅子にキビキビとした動きで座り口を開いた。

「王都にいる部下から気になる知らせがあった。それはアレクシアにも関係する可能性がある」

メイナードの言葉でピンときた。

「もしかして、王太子殿下の件ですか?」

王宮からの知らせとやらは、ルイの手紙の内容と同じではないかと思ったのだ。

メイナードは意外そうに目を見開く。

「なにか、聞いているのか?」

「昨日、ルイから手紙が届いたのです。それによれば王太子殿下は婚儀の直後姿を隠し、公務はオーレリア様ひとりで行っているのだとか。さらに王太子殿下はお父様とリリー子爵家を強引に呼び出したと」

メイナードは頷いた。

「弟は王太子の行動に不信感を持ったんだな」
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