婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「まあ、そのようなわけで、俺には少し特殊な力があるんですよ。それを使って誤魔化せない証拠を掴みました。国王と王妃も王太子夫妻を庇う気はないようなので、もう逃れるのは無理でしょうね。お気の毒ですが自業自得です」

ルーサーの言葉が終わると、再び扉が開き数人の武装した騎士がぞろぞろとやって来た。

「王太子殿下、妃殿下。国王陛下の命令によりご同行願います」

「ひっ!」

イライアスが醜い悲鳴を上げる。オーレリアはイライアスよりも冷静な様子だったが身を翻し逃げ出そうとした。

しかしメイナードが行く手を阻むように立ちふさがる。

「どこへ行くつもりだ?」

「……そこを退いて」

「逃亡しても無駄だ。諦めろ」

オーレリアは真っ青な顔でアレクシアを見た。

「アレクシア様、公爵に退くように言ってください」

アレクシアは驚き息を飲んだ。まさか彼女がアレクシアを頼ってくるとは思わなかったからだ。

「捕らえられたら私は破滅します。見逃してください。あなたは慈悲深い人でしょう?」

情に訴えかけようとでも言うのか、オーレリアは弱々しく言い募る。

手の平を返したような言動に衝撃を受けながらも、アレクシアは「いいえ」と毅然と答えた。
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