婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
『オーレリアは本当に優しいのだな。しかしそれでは婚約破棄は難しい。とんでもない悪女でも侯爵令嬢だ。婚約破棄をする為には誰の目から見てもあの女が悪いと思うような理由が必要なんだ。』

『でしたら私に考えがあります。上手くいけば婚約解消が叶いますので、アレクシア様には、 王都から遠い領地を持つ家に嫁いで頂いたらいかがでしょう? そうすれば私たちと顔を合わせる機会もなくなりますわ』

『追放して辺境に嫁がせるということか? それでは生ぬるくないか?』

愛しいオーレリアを害した罪はそんなものでは償えない。嫁いだらあの女が幸せになってしまう可能性があるではないか。

『私はアレクシア様に不幸になってほしいわけではないのです。ただ、やはり顔を合わせるのは怖いので……でも、辺境と言っても辺境伯様などの名のある貴族のご子息にはすでに婚約者がいらっしゃいますよね。かといって侯爵令嬢の輿入れ先に男爵家などでは……』

困ったように目を伏せるオーレリアは、ぞくぞくするほど美しく、イライアスは熱に浮かれたような気分になる。

『あいつには男爵家でも十分だ。商人でもいいのではないか?』

『イライアス様、そんなことを言ってはいけませんわ』

『構わない。しかしオーレリアがそこまで言うなら嫁ぎ先を考えてみるか。いやそれより先に婚約解消をせねば。良い案があると言っていたな。聞かせてくれ』
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